ファクタリングと電子記録債権（でんさい）の何が違う？違いを押さえて賢く資金調達

「資金調達をもっと効率よく、リスクなく進めたい…」そう感じていませんか？会社のキャッシュフローに悩んでいるあなたにとって、ファクタリングやでんさい（電子記録債権）という言葉を耳にすることが増えているかもしれません。でも、それぞれの違いがわからないまま、どちらを選べば良いのか迷っているという方も多いのではないでしょうか。

「ファクタリングとでんさい、どっちが自分のビジネスに合っているの？」 そんな悩みを持つあなたに、この記事では2つの違いをわかりやすく解説します。実は、これらをしっかり理解することで、資金調達の選択肢が広がり、ビジネスの成長に大きなメリットをもたらす可能性があるんです。

例えば、ファクタリングは、売掛債権を早期に現金化する方法で、手続きがスピーディーかつリスクを企業に残さないのが特徴。一方、**でんさい（電子記録債権）**は、取引先間での信用取引に基づく債権を電子化し、スムーズな資金の流れを実現する仕組みです。それぞれにメリットがありますが、用途やタイミングによって使い分けることで、資金繰りの悩みが大幅に軽減されること間違いなしです。

この記事を読むことで、あなたのビジネスに最適な資金調達方法が見つかり、安心して資金繰りに取り組むことができるでしょう。今、ファクタリングとでんさいの違いを押さえ、賢く資金を動かすための知識を手に入れて、ビジネスをさらに強化していきましょう！

ファクタリングと電子記録債権（でんさい）の概要

ファクタリングとは

ファクタリングは、企業が持っている「売掛金」をすぐにお金に換える方法です。売掛金とは、商品やサービスを提供したけれど、まだお金が支払われていない債権のことです。例えば、会社Aが会社Bに商品を売ったけれど、代金は2か月後に払われるとします。会社Aはその2か月を待たずに、ファクタリング会社にこの売掛金を売ることで、すぐにお金を手に入れることができます。このように、ファクタリングを使うと、売掛金を早くお金に換えることができ、会社の資金繰りが楽になるのがメリットです。

ファクタリングには、2つの方法があります。「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」です。2者間ファクタリングは、売掛金を売る会社とファクタリング会社の2社だけで行うもの。3者間ファクタリングは、売掛金を払う取引先も含めて契約を結ぶものです。

でんさい（電子記録債権）とは

でんさい（電子記録債権）は、電子的に管理される債権のことです。手形や売掛金のような債権を、インターネット上でデータとしてやりとりする仕組みです。これにより、紙の手形を使う必要がなくなり、紛失や盗難のリスクがなくなります。また、でんさいを使うと、債権の譲渡（売ること）や支払いも簡単にできるのが特徴です。

例えば、会社Aが会社Bにでんさいを使って商品代金を支払うとします。このでんさいは、会社Aの支払い記録として電子的に保存されます。会社Bは、このでんさいを他の会社に売ったり、支払いに使ったりすることができます。でんさいは、オンラインで手軽に管理できるため、時間や手間を大幅に省くことができます。

ファクタリングとでんさいの利用目的

ファクタリングとでんさいには、それぞれの利用目的があります。ファクタリングは、売掛金を早く現金にすることで、企業の資金繰りを改善するために使われます。例えば、商品を売ってからお金が入ってくるまでの間、現金が必要なときに便利です。

一方、でんさいは、手形や売掛金を電子的に管理して、支払いの効率を高めるために利用されます。企業同士の取引をスムーズにし、手続きの手間やコストを削減することが主な目的です。でんさいは、特に多くの取引を抱える企業にとって、事務作業を減らし、時間を節約するために役立つツールです。

ファクタリングとでんさい割引の違い

ファクタリングとでんさい割引には、大きな違いがあります。まず、ファクタリングは売掛金を買い取ってもらうサービスで、資金調達が目的です。ファクタリングを使うことで、まだ支払われていない売掛金を、すぐにお金に換えることができます。

一方、でんさい割引は、でんさい（電子記録債権）を金融機関に売ることで、資金を調達する方法です。でんさい割引も、ファクタリングと同じように早くお金を手に入れたいときに使いますが、でんさいを使って取引をすることが前提となります。そのため、ファクタリングと違い、でんさいを使っている相手企業が必要です。

また、審査の基準や手数料の違いもあります。ファクタリングの方が審査は緩やかで、手数料も割高です。でんさい割引は、手数料が比較的安いものの、審査が厳しいことがあります。どちらを選ぶかは、企業の資金調達のニーズや状況に合わせて決めることが大切です。

電子記録債権の仕組み

電子記録債権の仕組みは、商品やサービスの代金を電子的に記録してやり取りするものです。例えば、会社Aが会社Bに商品を売ったとき、会社Aはでんさいネットを使って、その取引の記録を電子的に残します。これを「電子記録債権」と呼びます。

電子記録債権は、紙の手形と違い、オンラインで簡単に確認や譲渡ができます。たとえば、会社Aが別の取引で会社Cにお金を払うとき、会社Bから受け取った電子記録債権を譲渡して支払いに使うこともできます。また、電子記録債権は分割して支払いに使うことも可能です。

電子記録債権の仕組みは、支払いの手続きや記録がデジタル化されているため、スピーディかつ安全に資金のやりとりを行うことができ、紛失や盗難のリスクもありません。

ファクタリングと電子記録債権（でんさい）の違い

ネットワークの違い

ファクタリングと電子記録債権（でんさい）は、利用するネットワークに大きな違いがあります。ファクタリングは、主にファクタリング会社や金融機関を通じて行われます。売掛金を早く現金に換えたい企業が、ファクタリング会社と直接やり取りし、売掛金の譲渡を行う仕組みです。ファクタリングは、特定のネットワークに縛られることなく、どの企業でも利用できるのが特徴です。

一方で、でんさい（電子記録債権）は「でんさいネット」という特定の電子取引ネットワークを利用します。このネットワークは、日本全国の金融機関が連携して提供しており、でんさいの発行や譲渡、支払いをデジタル化して行うことができます。でんさいを利用するためには、このでんさいネットに参加している金融機関を通じて手続きを進める必要があります。

手数料の違い

ファクタリングとでんさいを利用する際には、それぞれに手数料が発生しますが、その仕組みや金額は異なります。ファクタリングでは、売掛金を早くお金に換える代わりに、ファクタリング会社が手数料を取ります。この手数料は、取引の規模や企業の信用度によって異なりますが、一般的に数パーセントから10％程度までかかることがあります。手数料が高い理由は、ファクタリング会社が売掛金を買い取ることでリスクを負うためです。

一方で、でんさいの手数料は、ファクタリングに比べて低く設定されています。でんさいの手数料は、基本的に金融機関が設定しており、でんさいの発行や譲渡にかかる手数料は数百円から数千円程度です。でんさいは、電子的に取引を行うため、紙の手形と比べてもコストが少なく、企業にとって手数料の負担が軽いのがメリットです。

契約締結の違い

ファクタリングとでんさいを利用する際の契約の締結方法にも違いがあります。ファクタリングでは、ファクタリング会社との間で売掛金の譲渡に関する契約を結びます。この契約は、売掛金を買い取ってもらうための合意を含んでおり、2者間または3者間の契約が一般的です。契約には、売掛金の詳細や手数料の金額、支払いのタイミングなどが記載されます。

一方、でんさいの場合、契約の手続きはもっとシンプルです。でんさいを発行するためには、金融機関を通じてでんさいネットに登録し、取引内容を電子的に記録するだけです。紙の契約書を作成する必要がなく、すべてがデジタル上で完結するため、でんさいの契約はスムーズに進めることができます。また、でんさいを譲渡する際も、ネット上で簡単に手続きを行えるのが特徴です。

審査基準とポイントの違い

ファクタリングとでんさいを利用する際には、どちらも審査がありますが、その基準や重要なポイントが異なります。ファクタリングでは、売掛金を持つ企業の信用度よりも、売掛先（お金を払う側）の信用度が重視されます。つまり、売掛金を持っている企業がどれだけ信用できるかではなく、そのお金を払う予定の取引先が信用できるかどうかが重要になります。このため、売掛先が信用できれば、比較的簡単にファクタリングを利用することができます。

でんさいの審査は、ファクタリングに比べて少し厳しくなることがあります。でんさいを利用する企業自身の信用度が重視されるため、金融機関はその企業がどれだけ信頼できるかを厳しく審査します。また、でんさいの取引においては、企業の財務状況や過去の取引履歴がポイントとなるため、安定した取引をしている企業ほど有利になります。

未回収リスクに対する責任の違い

ファクタリングとでんさいには、未回収リスクに対する責任の取り方が異なります。ファクタリングの場合、売掛先が支払いをしなかったときのリスクは、ファクタリング会社が負います。これを「償還請求権なしファクタリング」と呼びます。つまり、売掛金を売った企業は、支払いが回収できなかった場合でも、責任を問われません。ただし、リスクを負うファクタリング会社にとって、このリスクが大きいため、手数料が高く設定されることがあります。

一方、でんさいでは、でんさいを譲渡した後も、元々の発行者が支払い責任を持つことが一般的です。つまり、でんさいを使った取引でお金が回収できなかった場合、発行者が責任を負わなければなりません。このため、でんさいを利用する際には、取引先の信用度を十分に確認しておくことが重要です。

売掛先への通知の有無

ファクタリングとでんさいでは、取引に関わる売掛先への通知に関しても違いがあります。ファクタリングの場合、2者間ファクタリングでは、売掛先に対してファクタリングを利用していることを通知しない場合があります。売掛先に知られずに資金調達ができるため、取引関係に影響を与えないのがメリットです。ただし、3者間ファクタリングでは、売掛先に対して通知が行われ、売掛金の支払いがファクタリング会社に行われることになります。

でんさいの場合、取引が電子的に記録されているため、取引の相手先に通知が行われます。でんさいは、電子ネットワークを使って取引を管理するため、取引の透明性が高く、取引先にもその内容がすぐに伝わる仕組みになっています。このため、でんさいを使った取引では、常に売掛先に通知が行われることになります。

ファクタリングのメリット

スピーディに資金調達ができる

ファクタリングの最大のメリットの一つは、非常に速くお金を手に入れることができることです。たとえば、会社が売掛金（まだ支払われていないお金）を持っている場合、普通だとそのお金が支払われるまで待つ必要があります。しかし、ファクタリングを使うと、売掛金をファクタリング会社に売って、すぐに現金を受け取ることができるのです。

通常、ファクタリングの手続きは数日以内に完了します。これは、銀行から融資を受けるのに比べてかなり早いです。銀行の融資は、審査に時間がかかることが多いですが、ファクタリングはそのような時間がかからず、急ぎでお金が必要なときにとても便利です。例えば、緊急の支払いが発生した場合や、ビジネスを続けるために早急に現金が必要なときに役立ちます。

売掛債権があれば申し込める

ファクタリングを利用するためには、基本的に「売掛債権」（つまり、まだ支払われていない売上金）があれば申し込むことができます。売掛債権とは、あなたの会社が何か商品やサービスを売ったけれど、まだお金を受け取っていない状態のことです。この売掛債権をファクタリング会社に売ることで、すぐに現金を手に入れることができます。

銀行の融資だと、会社の信用度や過去の業績が重要な審査ポイントになりますが、ファクタリングはそのような基準はあまり重視されません。重要なのは、あなたの会社が取引をしている相手（売掛先）がしっかりお金を払えるかどうかです。そのため、売掛債権さえあれば、特に大きな問題がなければファクタリングを利用できるのです。

償還請求権がない（未回収リスクを負わなくてよい）

ファクタリングの大きなメリットとして、「償還請求権がない」タイプの取引があります。これは、もし売掛先が支払いをしなかったとしても、そのリスクをファクタリング会社が負ってくれる仕組みです。普通なら、売掛金を受け取ることができなかったら、会社がその損失をカバーしなければなりませんが、償還請求権なしファクタリングを使えば、会社がそのリスクを心配する必要はありません。

たとえば、あなたの会社がA社に対して100万円の売掛金を持っているとします。A社がもし支払いをしなかったとしても、あなたの会社はファクタリングを利用して、すでにその売掛金の一部を現金として受け取っているので、損をする心配がないのです。これによって、資金の安定性が保たれ、経営上のリスクを減らすことができます。

信用情報に影響しない

ファクタリングは、会社の信用情報に影響を与えないというメリットもあります。銀行から融資を受ける場合、会社の借入額や返済能力が信用情報に記録されます。そのため、銀行にたくさん借り入れをしていると、他の金融機関からの融資が難しくなることがあります。しかし、ファクタリングは借り入れではなく、売掛金の売買です。つまり、会社の財務状況には直接影響を与えません。

これにより、会社が次の資金調達を検討する際に、信用情報の悪化を心配せずに済みます。特に、事業を拡大したいけれど、まだ銀行からの融資を受けたくない場合や、融資を受けるのが難しいときに、ファクタリングは有効な資金調達手段となります。このように、ファクタリングを使うことで、会社の信用情報を保ちながらスムーズに資金を調達できるのです。

まとめ

ファクタリングには、スピーディな資金調達ができたり、信用情報に影響を与えないなどの多くのメリットがあります。特に、売掛債権を持っている企業にとっては、銀行の融資よりも簡単に利用でき、リスクを軽減する効果があります。

ファクタリングのデメリット

手数料がかかる

ファクタリングを利用すると、手数料がかかるというデメリットがあります。ファクタリング会社は売掛債権を買い取ってくれる代わりに、現金を受け取る際に手数料を差し引きます。たとえば、あなたの会社が100万円の売掛金を持っていて、それをファクタリングで資金化しようとした場合、ファクタリング会社が手数料として10%を取ると、会社が受け取る現金は90万円になります。

この手数料はファクタリングの種類や会社によって異なります。銀行融資に比べると、ファクタリングの手数料は高めなことが多いです。しかし、手数料を払う代わりに、すぐに資金を手に入れられるというメリットがあります。特に、すぐにお金が必要な場合や銀行融資を受けるのが難しい場合に、手数料は必要なコストとして考えられるでしょう。

売掛先にファクタリング利用が知られる可能性がある

ファクタリングの中には、「売掛先に知られてしまう可能性がある」というデメリットがあります。ファクタリングを利用する際、売掛金を持っている相手（売掛先）に、あなたの会社がファクタリングを利用していることを通知する場合があります。これが売掛先にとっては、会社の資金繰りが悪いのではないかと疑わせることにつながるかもしれません。

売掛先に通知されるかどうかは、ファクタリングの種類によって異なります。「通知型ファクタリング」というタイプでは、売掛先にファクタリングを利用していることを伝える必要がありますが、「非通知型ファクタリング」というタイプでは売掛先に知られることはありません。売掛先との関係を気にする場合は、非通知型を選ぶ方がよいでしょう。

契約ごとに手続きが必要

ファクタリングは、売掛金ごとに契約を結ばなければならないという手間があります。たとえば、あなたの会社が複数の売掛先を持っている場合、ファクタリングを利用するごとに、ファクタリング会社と個別の契約手続きを行う必要があります。これは、銀行融資のように一度に大きな金額を借り入れる方法とは異なり、売掛金の都度、手続きが必要な点でやや煩雑です。

契約ごとに必要な書類の準備や、ファクタリング会社とのやり取りが発生します。また、売掛先の信用調査などのプロセスも必要です。そのため、時間がかかることもあります。手続きを一度にまとめて行うことができないため、日常的にファクタリングを利用する場合は、多少の手間を覚悟する必要があります。

悪徳業者を見極める必要がある

ファクタリング業界には、残念ながら「悪徳業者」と呼ばれる会社も存在します。これらの業者は、必要以上に高い手数料を請求したり、不利な契約条件を提示してくることがあります。そのため、ファクタリングを利用する際には、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。

悪徳業者を避けるためには、次のポイントに注意する必要があります：

• 会社の評判を調べる：口コミや評価を確認し、過去の利用者の声を参考にします。
• 契約条件をよく読む：特に手数料や契約の詳細について、不明な点がないかしっかり確認します。
• 不自然な条件に注意：あまりにも有利すぎる条件や、逆に不利な条件が提示された場合は、慎重に検討しましょう。

信頼できるファクタリング会社と契約を結ぶことで、悪徳業者によるトラブルを避け、安全に資金調達ができるようになります。

まとめ

ファクタリングにはスピーディな資金調達というメリットがある一方で、手数料や売掛先への通知、手続きの手間、そして悪徳業者に注意する必要があるなどのデメリットもあります。正しい情報を持ち、信頼できる業者を選ぶことで、これらのデメリットを最小限に抑えることが可能です。

でんさい（電子記録債権）のメリット

手続きが簡単

でんさい（電子記録債権）は、名前の通り「電子的に」処理が行われるため、手続きがとても簡単です。例えば、紙の手形を使った取引では、実際に紙の手形をやり取りしたり、署名や捺印が必要なことがありますが、でんさいではこういった手間が省けます。パソコンやスマートフォンを使って、インターネット上で必要な情報を入力し、手続きを完了できるので、時間も節約できます。

また、全国どこにいてもインターネットを通じて手続きができるため、物理的な距離も問題になりません。企業間の取引をスムーズに進めるために、でんさいのシステムは非常に便利です。

事務の負担が軽減される

でんさいを使うと、事務作業の負担が大幅に軽減されます。たとえば、紙の書類を管理したり、郵送したりする必要がなくなります。すべてが電子的に処理されるため、データの管理や検索も簡単です。さらに、従来の手形や振込のように、紙ベースで行われていた処理が減るので、書類の紛失や誤配送といったリスクも減ります。

また、事務作業を効率化できることで、他の業務に時間を割くことができるようになります。小さな会社でも、でんさいを利用することで、事務の負担を大きく減らすことができるでしょう。

印紙代やコスト削減につながる

でんさいは紙を使わないため、手形を発行する際に必要な「印紙代」を払う必要がありません。手形を使った取引では、取引金額によっては数万円の印紙代が必要になることもありますが、でんさいではそのコストを削減できます。また、紙を使った処理や郵送にかかるコストも減らすことができるので、会社の経費節約にもつながります。

こうしたコスト削減の効果は、特に大きな取引や頻繁に取引を行う企業にとっては大きなメリットとなります。

債権の紛失・盗難を防げる

でんさいは電子的に記録されるため、紙のように紛失したり盗まれたりする心配がありません。手形や証書など、重要な書類を管理するのは大変ですが、でんさいならすべての取引がシステム内で管理されるため、安全性が高まります。たとえば、もし手形を落としてしまった場合、その手形が悪用されるリスクもありますが、でんさいではそうしたリスクはありません。

情報がシステムでしっかりと管理されているため、万が一のトラブルに対しても安心です。セキュリティがしっかりしている点も、でんさいのメリットの一つです。

でんさい（電子記録債権）のデメリット

取引先もでんさいを利用していることが前提

でんさいを利用するためには、あなたの取引先も同じシステムを使っている必要があります。もし取引先がでんさいを利用していなければ、従来の紙の手形や銀行振込などを使わざるを得ません。このため、でんさいを利用する前に、取引先がこのシステムに対応しているかどうかを確認する必要があります。

でんさいを導入していない企業との取引では、このシステムを使うことができないため、全ての取引ででんさいを利用するのは難しい場合があります。多くの企業が利用するようになれば、このデメリットも解消されていくでしょう。

認知度が低い

でんさいは、まだ多くの企業や個人にはあまり知られていないシステムです。日本全体で利用が広がりつつありますが、従来の手形や振込のほうが一般的であるため、認知度が低いことがデメリットと言えます。そのため、でんさいを提案しても、取引先が仕組みをよく理解していなかったり、導入に前向きでない場合があります。

認知度が上がればもっと広く使われるようになるでしょうが、現在のところはまだ一部の企業や業界でしか使われていない状況です。このため、利用者が少ないことがデメリットになることがあります。

審査を通過する難易度が高い

でんさいを利用するためには、銀行などの金融機関で審査を受ける必要があります。この審査は、でんさいの利用者が信頼できるかどうかを判断するためのものですが、審査基準はやや厳しいことがあります。特に、会社の財務状況や過去の取引履歴などが審査に影響を与えます。

審査を通過しないとでんさいを利用できないため、すべての企業がすぐに利用できるわけではありません。また、審査の結果次第では、利用を断られることもあります。この点は、ファクタリングや他の資金調達方法と比べて、ハードルが高い部分です。

未回収責任を負う必要がある

でんさいを利用する際には、取引先から支払いが行われなかった場合の「未回収リスク」を自分で負う必要があります。つまり、取引先が倒産したり、支払いが遅れた場合でも、でんさいを発行した側がそのリスクを負うことになります。これは、ファクタリングの「償還請求権なし」とは異なり、でんさいでは利用者が自ら責任を取る必要があるため、リスクが高くなる可能性があります。

そのため、でんさいを利用する際には、取引先の信用や支払い能力をしっかり確認することが重要です。特に大きな金額を扱う場合は、事前にリスクを十分に考慮する必要があります。

まとめ

でんさい（電子記録債権）は、手続きの簡便さやコスト削減、安全性といったメリットがある一方で、取引先の利用状況や認知度、審査基準、未回収リスクといったデメリットもあります。しっかりとメリットとデメリットを理解し、自社にとって最適な資金調達手段を選ぶことが大切です。

ファクタリングとでんさいの共通点

期日前の資金化が可能

ファクタリングもでんさい（電子記録債権）も、どちらも「期日前に資金を手に入れることができる」という共通点があります。たとえば、売掛金（会社がお客さんからもらうお金）がすぐに入らないとき、ファクタリングやでんさいを使うと、お金が入る前にその売掛金を資金に変えることができます。これは、会社にとってとても便利な仕組みです。

通常、会社は取引をしてからお金をもらうまでに数週間から数か月かかることがありますが、そんなに待てない場合、ファクタリングやでんさいを使って、すぐにお金を受け取ることができるのです。これにより、急な出費や投資が必要なときにも対応できるため、事業の運営がスムーズになります。

決済は支払企業が行う

ファクタリングもでんさいも、実際のお金の支払いは取引相手（支払企業）が行うという点で共通しています。つまり、ファクタリングやでんさいで先にお金を受け取ったとしても、最終的には取引相手が支払うことになります。この仕組みによって、売掛先の企業（お金を払う側）は、自分たちの支払い期限に合わせてお金を支払うことができます。

たとえば、ファクタリングの場合、あなたの会社がファクタリング会社からお金を先にもらいますが、売掛先の会社がそのファクタリング会社にお金を支払います。同様に、でんさいの場合も、あなたの会社が電子記録債権を資金化したあと、取引相手がでんさいを通じて支払いを行います。これによって、取引全体が安全に進み、どちらの会社も安心して資金をやりくりできるのです。

このように、どちらの方法でもお金の支払いは取引先が行うため、自分たちの会社のキャッシュフロー（お金の流れ）をうまく調整しながら、資金を前もって得ることが可能です。

ファクタリング・でんさいを利用する流れ

ファクタリングの利用手順

ファクタリングを利用する際には、いくつかのステップを踏んで進めていきます。簡単に言うと、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、資金をすぐに手に入れる流れです。

でんさいの利用手順

でんさい（電子記録債権）も資金調達の方法の一つですが、ファクタリングとは少し手順が異なります。電子的に記録された債権を利用して資金を手に入れるプロセスです。

ファクタリングもでんさいも、それぞれの流れで資金を早めに手に入れる方法です。ただ、ファクタリングは専門の会社が間に入って資金を提供してくれますが、でんさいは電子システムを使って債権を譲渡し、資金化します。

どちらを選ぶべき

ファクタリングとでんさいは、どちらも資金を早めに手に入れるための方法ですが、使うべきタイミングや状況が異なります。ここでは、それぞれのメリットや向いているケースについて説明します。

ファクタリングを利用すべきケース

ファクタリングは、売掛金を持っているけれど、すぐに現金が必要な場合にとても便利です。特に、以下のようなケースでおすすめです。

• 急に資金が必要なとき
  例えば、急にお金が必要になったけれど、売掛金の支払いを待っていると資金繰りが厳しくなることがあります。ファクタリングなら、すぐに現金を手に入れることができるので、緊急の支払いなどに対応できます。
• 信用情報に影響させたくないとき
  ファクタリングを利用すると、借金ではないため、信用情報に影響がありません。銀行からお金を借りる場合とは異なり、信用に傷がつかないので安心です。
• 未回収リスクを避けたいとき
  ファクタリングには「償還請求権がない」タイプもあります。これを使えば、売掛先が倒産したりして支払えなくなった場合でも、ファクタリング会社がリスクを負ってくれるため、あなた自身がそのリスクを負う必要がありません。

このように、急いで資金が必要で、売掛金があるときにはファクタリングが有効です。

でんさいを利用すべきケース

でんさい（電子記録債権）は、ファクタリングと違って、電子的に記録された債権を利用して資金調達ができます。以下のような場合に適しています。

• 取引先もでんさいを利用しているとき
  でんさいは、取引先が同じシステムを利用していることが前提です。もし取引先もでんさいに対応しているなら、契約書を電子的に管理できるため、紙の書類が不要になり、手続きもスムーズです。
• コストを抑えたいとき
  でんさいを使うと、印紙代などのコストがかかりません。通常の契約書で必要な印紙税が不要になるので、コスト削減につながります。これにより、細かい経費を削減したい会社にとっては大きなメリットです。
• 事務作業を減らしたいとき
  電子的に処理できるので、紙の書類のやり取りや管理が減り、事務作業が大幅に軽減されます。特に大きな会社や複数の取引先がある場合、でんさいを使うと効率がアップします。

でんさいは、主に電子システムを利用できる取引先との間で、コストや手間を削減したいときに向いています。

両方を利用する場合

ファクタリングとでんさいのどちらも、状況に応じて使い分けることができます。例えば、以下のようなケースです。

• 売掛先によって使い分ける
  取引先の一部はでんさいを利用しているけれど、他の取引先はでんさいに対応していない場合、でんさいを利用できる取引先に対してはでんさいを使い、それ以外の取引先に対してはファクタリングを利用するという方法もあります。
• 短期と長期の資金調達を分ける
  例えば、短期間で急いで資金が必要な場合はファクタリングを利用し、もう少し余裕がある場合はでんさいを使ってコストを抑える、といった使い分けも可能です。

このように、状況に応じて両方を使い分けることで、より効率的な資金調達が可能です。

まとめ

ファクタリングと電子記録債権（でんさい）は、どちらもビジネスの資金繰りを支える重要なツールですが、目的や利用方法に明確な違いがあります。ファクタリングは、売掛債権を早期に現金化し、資金を迅速に調達したい場合に最適です。手続きが早く、リスクが軽減されるため、突発的な資金ニーズに応じやすいのが大きな強みです。一方、でんさいは、取引の透明性や信用取引を重視する場面で役立ち、取引相手との関係を長期的に強化する手段として効果的です。

それぞれの特徴を理解し、自社の資金ニーズに合わせて最適な方法を選ぶことで、資金調達を効率よく行うことが可能になります。また、両者を組み合わせることで、さらに柔軟で強力な資金繰りの体制を築くこともできるでしょう。

資金調達の選択肢は広がりつつあります。今こそ、しっかりと理解して前向きにアクションを起こすときです。適切な手段を選び、あなたのビジネスを次のステージへ進めましょう！